prologue

はじまり

1990年、バブルがはじけた。
株価は大暴落し土地神話は崩壊、企業の倒産が相次いだ。
当時、中堅不動産会社で管理職を務めていた創業者は、在庫物件の処分を命じられる。
売りたくない物件を、買いたくもない顧客に無理やり売らなければならない。
身も心も疲弊した。
仲間の苦しそうな姿を見るのは、さらに苦しかった。
命じられた物件を売り切ったところで辞表を出した。
その後、当時の部下や後輩5人が相次いで退職し、
このメンバーで会社をつくりたいと言い出した。

1993年初秋。
まだ、バブル崩壊の余波がおさまらないころだったが、
メンバー全員、不思議と不安はなかった。
「もっと気持ち良く皆が頑張れる会社をつくれる!」
全員が、そう確信していた。
意気揚々とメンバーが集合した新天地は、
宝塚市にあった古びた小さなビルの2階。
しかも間借りだった。
そのビルのオーナーが持つ在庫物件の販売を請け負う代わりに、
事務所を無料で貸してもらったのだ。

そんな事務所に響き渡ったのは、メンバーの希望に満ちた声。
「ところで社名、どうする?」
「ハッピー商会ってどう?」誰かが冗談混じりに言った。
「みんなが幸せになれる会社!意外といいんじゃない?」
「じゃあ、電話に出るときは、”あなたもハッピー、私もハッピーのハッピー商会です!”にしよか」
無邪気に笑い合う6人には夢しかなかった。
お金もない、信用もない、後ろ盾もない、お客様もいない。
無い無いづくしだったけれど、

不動産業界のイメージを変えたい
心を打つ仕事がしたい
真のプライドを持てる会社を作りたい

という意志( = WILL)があった。
この創業の思いを忘れないため、社名にウィルを冠した。

1993年10月1日
兵庫県宝塚市に、ウィル不動産販売(現:株式会社ウィル)誕生。

以来30年。
阪神淡路大震災にて被災、不渡り手形を掴まされる、リーマンショックなど
数々の試練を乗り越えてきた。
株式も上場し、事業領域を広げ、名古屋・東京にも出店したが、まだまだこれから。

そして、どこまで行っても忘れてはいけないことがある。
古びた小さなビルの一室で描かれた理想。
皆が気持ち良く頑張れる会社であること。
お客様の喜びを共に喜べる私たちであることを。

その思いが、いい日をつくる。

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